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A(エース)社会保険労務士法人の足立徳仁です。
このコラムでは、人事・労務に関する様々なQ&Aや法改正情報、助成金・補助金などの新着ニュースをお届けしてまいります。
今回は「2024年の人事労務に関する実務スケジュール」についてご案内します。
会社の人事労務担当者は、毎月の給与計算業務のほかにも年度ごとに必要な届出や、随時発生する多くの業務に対応しなければなりません。
今回は、2024年の人事労務に関する主な業務について、月ごとにまとめてご紹介します。人事労務に関する年間スケジュールと自社のスケジュールを確認頂き、担当者が無理なく対応できるよう準備を整えておきましょう。
1月の業務
【法定調書の提出】 2023年の年末調整業務の完了後、源泉徴収票や支払調書などの法定調書を法定調書合計表とともに提出します。管轄の税務署へ1月中に提出します。
【給与支払報告書の提出】 2023年の年末調整業務の完了後、給与支払報告書を総括表とともに提出します。1月1日現在(退職の場合は退職日現在)における従業員の住所地の市区町村へ1月中に提出します。
【労働保険料(第3期)の納付】※3回に分割納付している企業 第3期の労働保険料を、管轄の労働基準監督署や金融機関などに1月中に納付します。(労働保険事務組合に委託している場合は、事務組合から案内される納付日まで)
【源泉所得税の納期の特例(7月~12月分)】 従業員10人未満で、納期の特例制度の適用を受けている企業は、7月~12月分の源泉所得税を納付します。管轄税務署や金融機関などへ1月20日までに納付します。(土日祝にあたる場合は翌日)
3月の業務
【健康保険料率・介護保険料率の改定】 3月分から、健康保険料および介護保険料の料率が変わる場合があります。協会けんぽなど各保険者から発表されるあらたな料率を確認し、給与計算システムの設定の見直しを行います。
4月の業務
【雇用保険料率の改定】 雇用保険料率の料率が変わる場合、給与計算システム設定等の対応が必要になります。
【法改正情報】 改正日:2024年4月1日 1.労働条件明示ルールの改正 ・就業場所や業務の変更範囲 ・有期契約の更新上限の有無、内容 ・無期転換の申し込み機会、無期転換後の労働条件 2.適用猶予業種の時間外労働の上限規制 ・建設業、自動車運転業務、医師の時間外労働の上限規制が適用 (これに伴い、適用猶予業種の36協定の様式に変更あり) 3.自動車運転者の労働時間等の改善基準の改正 ・ドライバーの拘束時間の上限が短縮 ・勤務と次の勤務の間に必要な休息期間が延長 4.障害者の法定雇用率引き上げ ・民間企業の法定雇用率が2.5%へ変更(対象事業主の範囲:40人以上) ・週所定労働時間が10時間以上20時間未満の障害者の算定方法変更 5.裁量労働制の改正 ・専門業務型裁量労働制:対象業務の追加、労使協定の記載事項の追加など ・企画業務型裁量労働制:労使委員会の決議事項の追加など 6.求人募集時の労働条件の明示事項追加 ・業務の変更範囲 ・就業場所の変更範囲 ・有期労働契約の更新基準
6月の業務
【労働保険の年度更新】 ・前年度の確定保険料の申告および概算保険料の精算 ・新年度の概算保険料の申告および納付 (申告および保険料納付の期間)2024年6月3日(月)から2024年7月10日(水) (申告書の提出先)管轄の都道府県労働局、労働基準監督署、金融機関 (納付場所)管轄の都道府県労働局、労働基準監督署、金融機関など ※1 原則6月1日から7月10日。土日祝にあたる場合はその翌日 ※2 労働保険料の納付を3回に分割して支払う企業は、第1期の労働保険料を支払います。 ※3 口座振替やe-Govなどによる電子納付も可能
【住民税額の更新】 住民税は、前年の所得にもとづいて1年間の税額が決められます。各市区町村から「特別徴収税額の決定通知書」が企業に届き、通知された年税額は、6月から翌年5月の12か月に分けて給与から徴収します。 そのため、あらかじめ給与計算システムの住民税額を更新しておきます。
【高年齢者雇用状況報告書・障害者雇用状況報告書の提出】 毎年6月1日現在の高年齢者や障害者の雇用状況を報告します。 2024年4月の法定雇用率の引上げにより、障害者雇用状況報告の提出対象は、従業員40人以上の企業に変わります。
【新規高卒者のハローワークによる求人申込の受付開始】 来春高校卒業予定者の採用を考えている企業は、毎年厚生労働省から発表される採用選考期日を参考に採用計画を立てることをおすすめします。
 (出典)厚生労働省『令和6年3月新規高等学校卒業者の就職に係る採用選考期日等を取りまとめました』
7月の業務
【算定基礎届の届出(定時決定)】 健康保険・厚生年金保険の標準報酬月額と現在の報酬とのあいだに大きな差が生じないように、毎年4月〜6月の報酬月額を届出し、その内容をもとに標準報酬月額の見直しが行われます。 (届出期限)2024年7月10日 (届出先)事務センター、管轄の年金事務所
【源泉所得税の納期の特例(1月~6月分)】 従業員10人未満で、納期の特例制度の適用を受けている企業は、1月~6月分の源泉所得税を納付します。管轄税務署や金融機関などへ7月10日までに納付します。
9月の業務
【社会保険料の改定(定時決定の結果反映)】 定時決定により見直しされた標準報酬月額は、9月分の社会保険料から適用されます。ただし、7月~9月の随時改定に該当する場合は、随時改定による標準報酬月額が優先されます。
10月の業務
【地域別最低賃金の改定による賃金の見直し】 地域別最低賃金を下回る従業員がいる場合は、最低賃金以上への引上げが必要です。 【労働保険料の納付期限(第2期)】 労働保険料を3回に分割して納付する企業は、第2期の労働保険料を支払います。 (納付期限)2024年10月31日 (納付場所)管轄の都道府県労働局、労働基準監督署、金融機関など ※1 労働保険事務組合に委託している場合は、事務組合から連絡される納付の日付をご確認ください。 ※2 口座振替や電子納付も可能
【法改正情報】 改正日:2024年10月1日 1.社会保険の適用拡大 短時間労働者の社会保険の適用要件が、厚生年金保険の被保険者数51人以上の企業に拡大
11月の業務
【被扶養者状況リストの提出】 従業員の健康保険上の扶養家族について、収入など現在の状況を確認してまとめたリストを提出します。 なお、協会けんぽは毎年11月頃に実施しますが、健康保険組合の実施時期は組合ごとによって異なります。 (提出先)協会けんぽや健康保険組合などの保険者
12月の業務
【年末調整】 年末調整の業務は従業員に提出を求める申告書が数種類あり、添付書類も従業員によって異なるため大変煩雑です。多くの人事労務担当者にとって1年で一番忙しい時期になることから、早めの準備が必要です。
【法改正情報】 ※現在、2024年12月頃実施される予定となっています。 1.マイナンバーカードと健康保険証の一体化 ・マイナンバーカードと健康保険証が一体化される ・これにより健康保険証が廃止される予定
その他の業務(企業によって時期が異なるもの)
【36協定の届出】 36協定の有効期限を迎える場合、再締結および届出を行います。 (届出期限)あらたな有効期間の開始日 (届出先)管轄の労働基準監督署
【新入社員の入社手続】 ・社会保険・雇用保険の資格取得手続 ・雇用契約書、労働条件通知書や労働者名簿などの作成
【定期健康診断の実施】 定期健康診断は、毎年1回従業員に受診させる義務があります。従業員が50人以上の企業は労働基準監督署に結果報告が必要です。 また業務内容によっては実施時期が異なりますので注意が必要です。
 (出典)厚生労働省『労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう~労働者の健康確保のために~』
【賞与の支給、賞与支払届の提出】 賞与を支払った企業は「被保険者賞与支払届」を提出します。なお、賞与が不支給だった場合は、賞与不支給報告書の提出が必要です。 (提出期限)賞与支払日から5日以内 (提出先)事務センター、管轄の年金事務所
【ストレスチェックの実施】 メンタルヘルスの不調を未然に防ぐため、従業員50人以上の企業に対し、ストレスチェックの実施が義務付けられています。
まとめ
人事労務担当者は上記の月ごとの業務のほか、毎月の業務として給与計算、勤怠管理、年次有給休暇の管理、社会保険料・所得税等の納付、また随時の業務として入退職に伴う雇用保険・社会保険手続きなど、多くの業務を行う必要があります。 各種業務を正確に行うためにも年間の実務スケジュールを把握しておくことが必要になり、また企業全体の円滑な運営に繋がります。
A社会保険労務士法人では、法改正に対応した労務相談や就業規則の作成・改定、労使協定の締結、各種助成金の申請支援などを行っています。 また、勤怠・労務管理のDX化、Web給与明細や社会保険・労働保険手続き、給与計算など様々なサービスを提供していますのでお気軽にご相談ください。
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