A(エース)社会保険労務士法人の足立徳仁です。
このコラムでは、人事・労務に関する様々なQ&Aや法改正情報、助成金・補助金などの新着ニュースをお届けしてまいります。
本日は、新型コロナウイルス感染症が未だに流行し続けている中で、もしも従業員が「陽性者」や「濃厚接触者」になった場合、もしくは「業務により感染」となった場合に、会社が従業員に対して【労災保険給付】または【協会けんぽの傷病手当金】の対象となる場合の対応方法をお伝えいたします。
労災保険給付の対象となる場合
業務によって新型コロナウイルス感染症に感染したときは、『療養補償給付』や『休業補償給付』など労災保険給付の対象となります。【 対象となる従業員】 〇 感染経路が業務によることが明らかな場合
〇 感染経路が不明の場合でも、感染リスクの高い業務に就き、それによっ て感染した可能性が高い場合
(例)複数の感染者が確認された労働環境下での業務 (例)顧客などとの近接や接触の機会が多い労働環境下の業務 〇 医師・看護師や介護の業務に従事される従業員については、原則として 対象(業務外で感染したことが明らかな場合を除く) 〇 症状が持続し(罹患後症状があり)療養などが必要と認められる場合
など 詳細については、以下のリーフレットを参考にしてください。 参考:厚生労働省 「 業務によって感染した場合、労災保険給付の対象となります」
傷病手当金の対象となる場合
社会保険の被保険者は、新型コロナウイルス感染症に感染して仕事ができないときは、協会けんぽの『傷病手当金』の支給対象になります。 『 傷病手当金』とは、業務外の理由による病気やケガで仕事ができず、会社から給与の支払いがないときに、健康保険から生活保障として支給される手当です。支給を受けられるのは、 休業している期間が4日以上であり、 最初の3日間(待機期間という)は手当の支給はされず、 4日目から支給されます。 【 傷病手当金の支給額の計算式】 また、ご家族や会社内で感染者が発生し濃厚接触者となり欠勤しているときも、PCR検査の結果『 陽性』または『 自覚症状があり労務困難な場合』のいずれかに該当するときは支給の対象になります。 【 傷病手当金の支給対象者】 〇 陽性者の方
〇 発熱などの自覚症状があり、労務困難で仕事を休業している方
〇 自覚症状はないが検査の結果『陽性』となった方
➤ 新型コロナウイルスに感染した場合に、傷病手当金の制度の利用が可能な 条件については以下のとおりです。
【 傷病手当金支給申請書および療養状況申立書(新型コロナ申請用)】 〇 傷病手当金支給申請書: ダウンロード 〇 療養状況申立書(新型コロナ申請用): ダウンロード※ 請求期間が 14日以上の場合に『 療養状況申立書(新型コロナ申請用)』 を記入し添付してください。
傷病手当金の医師証明の添付が不要
通常、傷病手当金申請書を申請する場合は、『 医師の意見書』の添付が必要になります。 ただし、新型コロナウイルス感染により傷病手当金を申請する場合には、 当面の間は 医師の意見書の添付は不要となります。 【 医師の意見書の添付を不要とする場合の記載方法】 傷病手当金支給申請書(2項目 被保険者記入用)の『 発病時の状況の欄』に 発病年月日、 発病時の症状などを記入します。 【 協会けんぽの場合の記載例】 【 療養状況申立書(新型コロナ申請用)】 〇 療養状況申立書(新型コロナ申請用): ダウンロード※ 請求期間が 14日以上の場合に『 療養状況申立書(新型コロナ申請用)』 を記入し添付してください。 【 公的な通知書(例)】 〇 My HER‐SYSからプリントアウトした『療養証明書』
〇 医療機関が発行した『PCR検査の結果通知』『抗原検査結果通知』写 し
〇 任意でPCR検査・抗原検査を行った場合、検査機関より交付された陽 性の検査結果通知書の写し 〇 その他、医療機関が発行する陽性者への案内が証明の代わりとなる場合 があります
など 参考:厚生労働省『 療養証明書の表示方法』
国民健康保険加入者による傷病手当金の申請について
協会けんぽ以外の健康保険に加入されている場合は、加入されている健康保険の窓口へ 傷病手当金の申請が可能なのかお問合せください。 国民健康保険には 傷病手当金の制度はありませんが、給与の支払いを受けている方(事業主、無職などの方は対象外)を対象に、『 新型コロナウイルス感染症』に限り、 傷病手当金を期限つきで支給している『 市区町村』がありますので、該当する場合には お住まいの市区町村へお問合せください。
まとめ
新型コロナウイルス感染により、『 仕事を休業される方』や『 濃厚接触者の方』への対応方法は、感染状況によって対応方法が変わる場合があります。 従業員が感染し休業せざるを得ないことは、どの会社においても起こり得る深刻な問題です。『 陽性者』や『 濃厚接触者』が発生してから対応方法を考えるのではなく、 あらかじめ発生を予測、 想定し対応方法を考え、従業員に対して 速やかに案内できるようにしておくことが大切です。 また、『 各都道府県』において 対応方法が異なる場合がありますので、『 各都道府県のホームページ』で事前に確認ください。 本日ご案内いたしました【 労災保険給付】および【 協会けんぽの傷病手当金】に関するお問合せ、 勤怠管理システムや 労務管理システムの導入、 労務相談や 年金相談、 就業規則の見直しなどの様々なご相談を受付けております。 A(エース)社会保険労務士法人まで、お気軽にお問合せください。 **********************************
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