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【京都の社労士コラム】今更聞けない!! 36協定の基本知識を理解して会社を守ろう。

2022年03月17日

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A(エース)社会保険労務士法人の足立徳仁です。

このコラムでは、人事・労務に関する様々なQ&Aや法改正情報、助成金・補助金などの新着ニュースをお届けしてまいります。

本日は「36協定について」のご案内です。
36協定とは「時間外、休日労働に関する協定」のことです。

労働基準法における法定労働時間は「1日8時間、1週40時間以内」とされていますが、これを超えて社員に残業をさせる場合には、労働基準法第36条にもとづく労使協定(※36協定)の締結所轄労働基準監督署長への届出が義務付けられています。

この36協定では、時間外労働に携わる業務の種類、1日・1カ月・1年当たりの時間外労働の上限などをあらかじめ決めておかなければなりません。

36協定(リーフレット)

1.36協定の上限とは?

2019年4月より36協定で定める時間外労働に罰則付きの上限が設けられました。
これにより時間外労働の上限は「月45時間・年360時間」とされ、臨時的な特別の事情がない限り、これを超えることはできません。


2.働き方改革による時間外労働時間の上限規制

従来の36協定においても限度基準告示による残業時間の上限は定められていましたが、特別条項付きの36協定を締結すれば、企業は上限を超えて残業を要請することは可能でしたが、「働き方改革」の一環として時間外労働における罰則付きの上限が定められ、企業は規定時間を上回る残業を社員にることはできなくなりました




3.36協定の上限となる労働時間

労働基準法における時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間と定められており、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできません。

また、臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6カ月が限度です。
時間外労働は年720時間以内、時間外労働と休日労働をあわせて月100時間未満、2~6カ月平均80時間以内とする必要があります。

4.36協定締結の条件

36協定の上限を締結する条件企業が社員に対して法定労働時間を超えた労働を指示する場合には、あらかじめ労働組合などと書面締結しておく必要があります。

ここでは36協定の締結をする際に、必要となってくる条件を詳しく説明していきましょう。

条件①労働者の過半数で組織する労働組合がある場合

36協定を締結する際は、社員過半数で組織する労働組合との書面による協定が必要となります。

この労働組合とは、正規社員だけでなくパートアルバイトなどを含めた企業に属するすべての社員の過半数で組織されていることが条件です。
自身が36協定の締結をする際には、企業の社員数労働組合員数チェックし、過半数組合となっているかを確認するようにしましょう。

条件②労働者の過半数で組織する労働組合がない場合

社員の過半数で組織する労働組合がない場合は、社員の過半数を代表する人との書面による協定が必要となります。

この社員の過半数を代表する人には「管理層ではないこと」「投票挙手などの方法で選出された人であること」に該当する必要があります。また部長や工場長といったマネジメント職は、社員からの信任を得られていても、代表者にはなれません。
企業が社員に対して法定労働時間を超えた仕事を指示する際は、あらかじめ労働組合などと書面にて締結する必要があります。

5.36協定の上限を超えたらどうなる?

労働基準法では労働時間を1日8時間、1週間に40時間と限度と定めており、36協定を締結しないまま社員に時間外労働させるのは原則違法となり、罰則が課せられる可能性があります。
ここでは罰則の対象などを詳しく見ていきましょう。

罰則の対象となる

「労働基準法第32条」にもとづいた36協定の締結を行わないまま、法定労働時間を超える時間外労働や休日出勤を社員が行った場合、これは労働基準法違反になり罰則の対象となります。

「労働基準法第119条」にもとづき、36協定なしに企業が社員に時間外労働をさせた場合の罰則は6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金刑が科せられます。

罰則の対象者

36協定違反の対象となるのは企業だけでなく労務管理を担当する責任者についても罰則の対象となるので確認が必要です。

近年においてもこの36協定に違反したとして大手企業の工場長などの管理職が書類送検されるなどのニュースも増加傾向にあり、そのため、企業が社員を雇用するにあたっては、36協定は重視すべき項目です。


6.  36協定の適用外となる職種

事業や業務の性質によって36協定の上限規制の対象外となる職種もあります。

工作物の建設などの事業
自動車運転が必要な業務
新技術や新商品等研究開発の業務
 については36協定の上限規制の対象外と定められています。

また「厚生労働省労働基準局長が指定する事業や業務」もこれに該当しますが、1年間の限度時間が適用されます。

さらに労働安全衛生法が改正されたことで、研究開発業務については、1週間あたり40時間を超えた労働時間が月100時間を超えた労働者に対して、医師の面接指導が罰則付きで義務づけられました。

7.36協定の上限を超えないための対策

時間外労働の上限規制においては、働き方改革に関係する法律の中でも特に罰則規定が厳格になっています。

それゆえ企業は時間外労働の上限を超えないように、適切な対策を講じなくてはなりません。
ここでは36協定の上限を超えないための対策を見ていきましょう。

健康確保措置を取り決める

一般的に月の残業時間が45時間を超えると、脳や心臓の病気にかかるリスクが高まるとされています。
改正された36協定では、45時間を超える労働時間を課す場合の健康と福祉確保のための措置対応が企業に義務づけられています。
これには、

①産業医の面接指導や健康相談
②終業から始業までの休息時間の確保
③配置転換
④連続休暇の取得
などが該当します。

健康確保措置を取り決める

労働基準法では、労働時間や休日について規定が定められていることから、企業は社員の労働時間を把握し管理することが重要となります。
労働時間の把握は、
・タイムカード
・パソコン使用時間の記録
など、客観的な方法が原則となりますが、これらの方法が難しい場合には、適切な方法にもとづいた自己申告を行うことも可能です。

就業規則の改定

特別条項付きの36協定において割増賃金率を定めた際には、労働基準法第89条第2号にもとづく「賃金の決定」や「賃金の計算や支払い方法」に関係するため、就業規則も新しい割増賃金率を規定する必要があります。

特別休暇を付与する

社員の勤務スケジュール健康状態に応じて、企業が特別休日を与えることも望ましいと言えるでしょう。社員への特別な休暇制度は、36協定の上限を超える際における義務的な措置ではありません。
・社員の健康の保持
・仕事とプライベートとの調和(ワークライフバランス
モチベーションの向上
のためにも、休暇制度の導入は大変有益と言えます。

7.36協定届の書き方と注意点

「36協定届」の新様式では書き方も注意する必要があります。
法改正によって新たに様式が追加された「特別条項」における「臨時的に限度時間を超えて労働させることができる場合」の箇所では、予測できない一時的な理由を書く必要があります。
よって決算対応や採用対応対応など、あらかじめ予測できるものは、今後認められない可能性が高いと言えます。


36協定届の提出期限

「36協定届」の有効期限は1年間に定めることが望ましく、一般的な企業では年に1回、再締結を実施している傾向にあります。

時間外労働の上限規制の適用は、大企業は2019年4月以降、中小企業は2020年4月以降から適用となっており、各月以降の期間をもとに定めた、36協定から新たな様式で提出を行わなければなりません。
「36協定届」は政府の総合窓口「eGov(イーガブ)」から電子申請を行うことができます。
電子申請手続きについては厚生労働省のホームページに詳しく解説されていますので確認してみて下さい。

36協定の届出は助成金の申請などにも影響しますので、時間外が発生する企業は必ず届出しておきましょう!!

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