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【京都の社労士コラム】1ヵ月変形労働時間制を正しく知ろう!労基は突然やってくる!!

2022年05月12日

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A(エース)社会保険労務士法人の足立徳仁です。

このコラムでは、人事・労務に関する様々なQ&Aや法改正情報、助成金・補助金などの新着ニュースをお届けしてまいります。

本日は「1ヵ月単位の変形労働時間制」について解説し正しい制度の導入をご紹介していきます。

働き方改革を追い風に、多様な働き方の実現が目指される中、変形労働時間制を導入されている企業が増えてきています。

特殊な労働時間制の採用は、日々の労働時間の柔軟な調整が可能となる為、誤った運用による労働時間の長時間化、未払い賃金の発生につながることもあるため、注意しなければなりません。
今回は「1ヵ月単位の変形労働時間制」に注目し、導入時の注意点を考えてみましょう。




「1ヵ月単位の変形労働時間制」とは?


変形労働時間制とは、事業所の繁忙期と閑散期がある程度決まっている場合、労働時間を週単位・月単位・年単位で調整することで、柔軟に働けるようにする勤務時間制度のことです。
労働基準法において、労働時間は「1日8時間・週40時間」が原則となっており、これを超えると時間外労働(残業)となります。
とはいえ、繁忙期にはやるべき仕事が集中してしまい、勤務が1日8時間を超えてしまうケースも出てきます。

ただし、1ヵ月単位の変形労働時間制を採用することで、一定の要件を満たす必要はあるものの、1ヵ月単位で労働時間の調整ができます。

具体的には、以下の要件を満たす場合に、特定の日について1日の労働時間が8時間を超えたり、特定の週に40時間(特例措置対象事業場は44時間)を超えたりすることが認められます。


  厚生労働省HP


point
1ヵ月の期間を平均して、1週間当たりの労働時間が40時間(特例措置対象事業場は44時間)以内とする

point
対象期間の労働時間を、以下の式で計算した上限時間以下とする1週間の労働時間40時間(特例措置対象事業場44時間)✖対象期間の暦日数÷7



【企業のメリット】
繁忙期・閑散期のある業界・職種の場合、残業時間・残業代を抑える効果が期待できます。
閑散期の労働時間を法定労働時間より短くする代わりに、繁忙期の労働時間を法定労働時間より長くする」といった調整が可能になります。
これにより、繁忙期に1日8時間・週40時間以上勤務したとしても残業にならなくなります。

【従業員のメリット】
閑散期は早く退社することができます。
通常の「1日8時間・週40時間勤務の場合」は、仕事が少ない日であっても1日8時間の勤務をしなければなりません。
しかし、変形労働時間制で閑散期のシフトが短い時間で設定されている場合は、「やることがなくても会社にいなければならない」という無駄な居残り時間をなくすことができます。
メリハリのある働き方を実現できることで、休息やプライベートの充実など、ワークライフバランスも実現しやすくなります。


1ヵ月単位の変形労働時間制の要件

1ヵ月単位の変形労働時間制では、労使協定または就業規則で、変形期間を平均して1週間あたりの労働時間が週法定労働時間以内になるように、対象期間および起算日を具体的に定める必要があります。

就業規則は対象期間および起算日を定めて、事業場の従業員の過半数代表者の意見を添付して所轄労働基準監督署に届け出る必要があり、労使協定は、対象期間、起算日の他に有効期間を定めて所轄労働基準監督署に届ける必要があります。

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①就業規則又は労使協定書に定める
②変形期間における、各日、各週の労働時間を具体的に定める
③変形期間の起算日を定める
④変形期間における法定労働時間の総枠を定める
⑤対象となる労働者を定める

導入に適した業種・職種


・飲食業
・医療法人機関
・介護事業所
・運送業
・警備業


時間外労働(残業)となるケース


①1日について
・8時間を超える時間を定めた日は、その時間を超えて労働させた時間
・上記以外の日は、8時間を超えて労働させた時間

②1週間について
・40時間を超える時間を定めた週は、その時間を超えて労働させた時間
・上記以外の週は、40時間を超えて労働させた時間(1日について時間外労働になる時間を省く)

③変形期間について
・変形期間における法定労働時間の総枠(法定労働時間✖対象期間の暦日数÷7)を超えて労働させた時間(1日及び1週間について時間外労働になる時間を除く)



短時間労働者に対する適用

短時間労働者であっても、週1回の出勤で1日の所定労働時間が8時間を超える設定がなされている場合や、1日の労働時間が短くても6日出勤で週の所定労働時間が40時間を超過する場合では適用することで時間外労働の削減に取り組むことが出来ます。


※例えば飲食業において、土曜日と日曜日に所定労働時間が10時間として労働させる場合が該当。

変形労働時間制の導入は、労働時間・日数の適切な配分、諸規程の整備、シフトの運用、勤怠管理、残業手当の計算など、煩雑で手間のかかる作業を伴います。
また、社内の理解を深めるための交渉も必要です。
しかし、変形労働時間制の導入は、残業手当の削減などといったコスト面でのメリットだけでなく、ワークライフバランスの実現というメリットもあります。ぜひ、変形労働時間制の導入を検討してみてはいかがでしょうか。



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