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【京都の社労士コラム】知っていますか?高卒採用求人の流れとルール

2022年06月16日

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A(エース)社会保険労務士法人の足立徳仁です。

このコラムでは、人事・労務に関する様々なQ&Aや法改正情報、助成金・補助金などの新着ニュースをお届けしてまいります。

本日は今月6月1日から受付の開始された「高卒採用求人」についてです。

2022年3月卒の高校生向け求人数は、約39万人で、前年比0.9%の増でした。2021年はコロナ禍によって求人数は20%以上減少したものの、2022年3月卒求人は微増に転じ、求職者数は約13万5,000人となっており、求人倍率は依然として2.89倍と高い水準を誇っています。
(出典元:https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000184815_00034.html

そんな「高卒採用」ですが、その内容は新卒・中途採用とは大きく異なり、独自のルールがあることをご存じでしょうか。

今回は、高校生の新卒採用を始める前に知っておくべきポイントを採用活動スケジュールに沿って見ていきます。

高卒採用独自のルール

「一人一社制」
「一人一社制」とは、企業が自社への応募の際に単願を求め、学校側としても応募の推薦を制限し、「応募解禁日」から一定時期まで、一人の学生が応募できる企業を一社とする制度です。学生はその企業の内定が得られなかったときに、はじめて他の企業に応募できます。
一方で、一定期間を過ぎれば複数の企業に応募することができるようになります。このルールやスケジュールは都道府県ごとに、労働局、教育委員会、経済団体が毎年話し合いで詳細を決めているため、地域によって違いがあります。また原則として、内定すれば必ず就職しなければなりません。健全な学校教育を最優先かつ適正な就職の機会を与えるために設けられたルールです。

生徒への直接連絡の禁止
「高卒採用」において、高校生は企業との直接連絡を禁止されており、原則として企業情報は高校を経由して知ることになります。このルールは、企業側が高校生と直接コンタクトを取ることで、その意思決定に揺らぎが生じるのを防ぎ、内定後も学校生活に専念できるようにするためのものです。電話やメールで企業と直接連絡を取れる新卒採用と比べると不便かもしれませんが、高校生の本分は健全な学校教育を受けることですので、とても重要なルールになります。

求人票にはハローワークの確認印が必要
「高卒採用」において、企業は、原則としてハローワークへの求人申し込み(求人票)が必要で、求人票には、ハローワークの確認印が押印されます。


三者間ルールとは‥
応募した学生が適正な職業選択を行えるよう、三者間(行政、学校組織、主要経済団体)によって厳格なルールが設けられています。三者間によるルールは、未成年の高校生を守るためのものであり、「高卒採用のルール」として広く周知されています。
                     
採用スケジュールとポイント

2023年3月卒の新規高等学校卒業者の採用選考スケジュール(京都府)
6月1日(水) ハローワークにて高卒求人の受理を開始
7月1日(金) 企業から高等学校に求人票の送付を開始
9月5日(月) 企業への応募、推薦を開始
9月16日(金) 採用選考を開始
10月16日(日) 1人2社までの複数応募が可能
10月以降 二次募集開始
※2023年京都府のスケジュールを掲載しています。
令和4年度府内高校生の就職活動スケジュール

【6月】
「高卒採用」は、例年6月1日よりハローワークの求人受付が開始されますが、「高卒採用」の要となる「求人票の作成」においては、営業職や事務職、介護職、美容など職業や募集職種によって書き方の工夫が必要で、高校生に求める資格などによっても記載内容が変わります。自社に合った高校生に興味・関心を持ってもらえるのかを記載しなければならないため、企業ごとに創意工夫が必要です。

高卒採用の求人票作成のポイント
求人票はフォーマット化された文章だけの書類のため、高校生にとっては理解しづらく就職後のイメージがつかみづらいです。ですから、できるだけかみ砕いてわかりやすく記載しましょう。
✕専門用語 ✕難しい単語
例えば募集職種に、「営業職」とだけ記載している場合がありますが、高校生や先生は「営業職」にあまり詳しくありません。仕事内容が具体的にイメージがわくように記載しましょう。例えば、
営業職(八百屋さんに野菜を提案する営業) など

【7月】
企業が高校に対してアプローチ活動を行えるようになる解禁日は7月1日からです。7月1日より企業は以下2点の採用活動を行うことができます。

〇高校訪問
就職を希望する高校生を指導する先生を訪問し、企業の紹介や求める高校生像を含めた求人内容を紹介します。具体的にどのような高校生に就職してもらいたいのか、企業の魅力を伝えます。高校へはアポイントを取って訪問しましょう。

〇求人票の発送
6月中にハローワークへ申し込みを行った「求人票」は、7月1日より管轄のハローワークにて求人票受け取りが可能となります。募集したい高校の進路指導部宛に送付します。

高校へ求人を出すときのポイント
高卒採用を成功させるためのポイントは、

*「求人票を直接学校へ訪問して届ける」
*「採用パンフレットや職場見学案内などを同封する」の2つです。

 最優先の高校には、夏休み前までに直接求人票を持参しましょう。直接学校に足を運べば、生徒と日々接している先生に自社の魅力や情報を伝えられます。高校生の就活では、進路指導の先生と相談しつつ応募企業を選ぶのが一般的です。先生に自社の業務や特徴などを理解してもらえれば、生徒の適性を考慮しながら、応募先として選んでもらえる可能性があります。

採用パンフレットは、企業が求職者に向けて入社を促すためのツールです。学生にどのような企業なのかを知ってもらい、「この会社で働きたい」と感じてもらうのが目的です。学生が目にする求人票には、最低限の情報しか記載されていないため、採用パンフレットの活用は有効になります。採用パンフレットには、自社の強みや特徴、社風、社内行事などのコンテンツを盛り込むとよいでしょう。また、先輩社員の声も、学生にとっては貴重な判断材料になりえます。また、実際に職場を見てもらったほうが、自社が取り組んでいる仕事や職場の雰囲気を学生に理解してもらえます。職場見学を積極的に行い、その案内についても求人票とともに学校へ届けましょう。

【9月】
学校から企業へ応募書類が提出されます。
9月16日以降に選考開始になりますので、面接スケジュールを学校を通して案内しましょう。

選考におけるポイントについても、もう一度確認しておきましょう。
公正な採用選考の基本

選考を経て、内定という流れになります。内定は速やかに通知しましょう。

高校生への直接連絡は禁止
企業から内定を出した高校生への連絡は禁じられているため、情報を提供できません。また、書類やレポートの提出を求める行為をはじめ、卒業式前の研修もNGです。入社日も卒業式以降に執り行わなければならないなど、さまざまなルールがあります。書類に関しては就職承諾書のみ提出を求めることができます。

このような情報不足が、高校生のモチベーション低下につながるおそれがあります。
高校生への直接的な連絡は禁止されていますが、高校を通じてメッセージを送るのは問題ありません。そのため、学校に社内報を送付し、生徒へ渡してもらうといったフォローの方法が考えられます。(※高校によってはNGの場合もあるので、事前に確認は必要です)

内定が出たあとも、高校生は「本当に内定をもらえているのだろうか」といった不安を抱えるケースが少なくありません。入社式の案内をすれば、入社が決まっていることを実感でき、不安を解消できるでしょう。

入社式の案内では、当日の服装や持ち物などについて、詳細を連絡しましょう。開始時間や終了時間だけでなく、式の流れなどについても記載しておくと親切です。


「採用状況報告書」
採用選考を進めていく中で忘れがちになってしまうのが、ハローワークへの採用状況報告書の提出です。例年9月から選考が解禁となりますが、毎月の採用内定状況を指定の書面に記入し、FAXでハローワークに提出をする流れとなっています。この書面については、ハローワークから送付されてくる「新規学校卒業予定者の求人・募集の手引き」に同封されています。

【10月】
高校生の新卒採用における二次募集について、定められたルールは特には存在しません。
9月末の時点でまだ内定が出ていない高校生は、就職活動を継続して行います。他にも大学進学や公務員試験など、他の進路と並行して就職を検討していた高校生が、秋から本格的に就職活動を開始することもあります。高卒新卒全体に占める割合は低いものの、一定数10月以降も就職活動を行う高校生がいます。そのような高校生を対象に採用活動を行うことを二次募集と呼びます。

〇採用充足の報告
求人が充足した場合は、その都度ハローワークへ報告をします。
基本的に、求人票に記載されている求人数に達していない中で求人票を取り下げることはできないので注意が必要です。
(例)元々5名の求人数で募集をかけていたが3名採用が決まり、その段階で求人をクローズすることはできません。

やむを得ず募集の中止や募集人員の削減を行う場合は、ハローワーク及び学校に届け出が必要です。


計画的な採用活動を

2019年に厚生労働省が発表したデータによると、高校生の6割以上は9月末時点で就職活動を終了しています。また、例年12月末には9割以上の高校生が就職活動を終えているようです。
企業側には、高校新卒の採用者が長期的な戦力になってくれることや、大学新卒採用と比較すると採用コストが抑えられるなど多くのメリットがあります。高卒採用は、大卒採用など他の採用手法にはないルールのもと採用活動が行われます。企業に合った採用活動スケジュールをあらかじめ計画し、効率の良い採用活動を行うよう心がけましょう。


当法人では採用活動についてもアドバイスを行っています。
是非、お気軽にご相談下さい。


              
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