パワハラの実態調査の内容
2020 年10 月に厚生労働省が実施した「職場のハラスメントに関する実態調査」によると、過去3 年間にパワハラを受けたことがあると回答した労働者は31.4%でした。また、受けたパワハラの内容としては、以下のとおりです。
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• 精神的な攻撃 49.4% • 過大な要求 33.3% • 個の侵害 24.0% • 過小な要求 21.2% • 人間関係からの切り離し 20.5% • 身体的な攻撃 5.8% • その他 3.9% |
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男女別でみてみると、「過大な要求」の割合は男性の方が女性より高く、「人間関係からの切り離し」や「個の侵害」の割合は女性の方が男性より高くなっています。
パワハラを判断するための基準
職場におけるパワハラは、以下の3つの条件が全てそろった場合とみなされています。
・優越的な関係を背景とした言動である・業務上必要かつ相当な範囲を超えたものである・労働者の就業環境が害されるものである正社員・契約社員・派遣社員・パート・アルバイトなど、雇用形態にかかわらず「同じ職場で働く者」全てが対象となります。
<代表的なパワハラ行為の類型>1.身体的な攻撃:暴行や傷害など2.精神的な攻撃:脅迫や名誉毀損、侮辱、ひどい暴言など3.人間関係からの切り離し:隔離や仲間はずし、無視など4.過大な要求:業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害5.過小な要求:道理に反して、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと6.個の侵害:私的なことに過度に立ち入ること
実施が義務付けられる防止措置
今回の法改正により、企業がパワハラを防止するために講ずべき措置として次の4 つが義務付けられています。
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① 事業主の方針の明確化とその周知・啓発 パワハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、パワハラの行為者には懲戒処分等の対象になることを就業規則等に定め、従業員に周知する。
② 相談に応じて適切に対応するために必要な体制の整備 相談窓口を定め、従業員に周知し、相談窓口担当者が、内容や状況に応じて適切に対応できるようにする。
③ パワハラへの事後の迅速かつ適切な対応 事実関係を迅速かつ正確に把握するとともに、事実関係の確認ができた場合には、速やかに被害者に対する配慮のための措置および行為者に対する措置を適正に行う。また、再発防止に向けた措置を講ずる。
④ 併せて講ずべき措置 プライバシーを保護し、不利益な取扱いがされないこと等を定め、従業員に周知する。 |
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これらの防止措置は中小企業でもすでに努力義務になっていますが、2022 年4 月からは措置義務となります。措置を講じていないものがあれば早めに準備を進めましょう。
具体的なパワハラ予防の取り組み例
1.就業規則や労使協定を制定して社内方針を明確化し、周知・啓発する。
2.パワハラ防止を周知・啓発するための社員研修を定期的に実施する。
3.社内におけるパワハラの実態や、パワハラに関する意識調査のためのアンケートを実施する。
※パワーハラスメントに関するアンケート調査(出典:あかるい職場応援団)4.問題の深刻化を防ぐために、気軽に相談できる窓口を設置する。その際、プライバシー保護に十分に留意する。
今回の法改正で、従業員の責務として、ハラスメント問題に関する関心と理解を深め、他の従業員 ( 取引先等の他社の従業員や、求職者も含む ) に対する言動に注意を払うことや、会社が講じる雇用管理上の措置に協力することが法律上明確化されました。今後、パワハラ防止研修を行うこと等により、パワハラの予防に向けた取組みが求められます。
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