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【京都の社労士コラム】社長と会社にお金を残す方法!企業型確定拠出年金とは!?

2022年09月08日

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A(エース)社会保険労務士法人の足立徳仁です。

 このコラムでは、人事・労務に関する様々なQ&Aや法改正情報、助成金・補助金などの新着ニュースをお届けしてまいります。

 本日は、『企業型確定拠出年金』についてのご案内です。

 2020 年 6月 5 日に「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が公布されてから、ますます利用しやすくなった確定拠出年金は、福利厚生の充実や退職金準備のために導入を検討する企業が増え、企業型確定拠出年金を利用する人は近年増加を続けており、2021年3月末の加入者数は、前年比約25万人増の750万人超となっています。

・全額経費で役員の退職金の積み立てがしたい!
・社会保険料の負担を見直したい!
・従業員の定着率を上げたい!

 このような企業様におすすめの年金制度になっていますので、以下ご紹介します。


確定拠出年金とは

 確定拠出年金(DC:Defined Contribution Plan)とは、会社や加入者が毎月拠出した掛金を積み立てながら、加入者自らが長期的に運用し、運用結果によって、60歳以降に個人年金として受取る私的年金制度です。

 確定拠出年金法を根拠としており、日本では2001年(平成13年)10月から始まりました。

 日本の年金制度は、3階建ての構造となっており、このうち1階・2階が国民年金や厚生年金といった国が管理・運営する公的年金、3階が公的年金に上乗せして企業や個人が任意で加入する私的年金となっています。確定拠出年金は、この3階部分の私的年金制度に当たります。

 
 確定拠出年金には、会社が企業年金制度として採用する「企業型確定拠出年金個人が資産形成として加入する「個人型確定拠出年金の2種類あります。

 今回は、企業型確定拠出年金について以下説明します。


企業型確定拠出年金(企業型DC)とは

 企業型確定拠出年金(企業型DC)とは、会社が掛金を毎月積み立て(拠出)し、役員、労働者関係なく原則70歳未満の厚生年金被保険者が、年金資産の運用を行う制度です。労働者自身が予め用意された運用商品(株式、投資信託、定期預金など)の中から、好きな運用商品を選択、長期に運用しながら、原則60歳以降に年金として受け取ります。「運用」していくことになるので、当然、年金額は運用成果によって変わります。会社が労働者の退職金制度の一環として、老後の年金準備として行われます。労働者にとっては、転職や退職の際の年金資産の持ち運び(ポータビリティ)制度があることから、継続して加入することによって、年金資産を形成することができます。

         企業型確定拠出年金の加入者数の推移
                       【出典】統計資料|企業年金連合会


企業型確定拠出年金(企業型DC)のメリットとは

 企業型確定拠出年金は、従業員はもちろん経営者なども加入できることを背景に3つのメリットあります。


1.積み立てた掛金が所得控除になり「税軽減」
 この企業型確定拠出年金の掛金は給与所得にはならず、そのまま控除することができます。よって、所得税・住民税もかかりません。同じ金額を給与として受け取れば、当然、給与所得として所得税・住民税がかかるうえ、社会保険の標準報酬月額対象となるので、社会保険料がかかることになります。しかし、企業型確定拠出年金は控除ができるので、そのままの状態で積立ができます。
 企業にとっては、毎月拠出する掛け金は、会社負担分の社会保険料がかからず、全額損金算入(費用)することができ、法人税上のメリットも見込めます。


2.運用益に対して「非課税」

 通常、投資信託等で運用し、売却したときの運用益には20.315%の税金がかかりますが、確定拠出年金の場合は運用途中に売却したとしても、売却益に対して非課税になります。


3.受取時の各種控除で「税軽減」
 60歳以降に運用資産を受け取る際、「税軽減」のメリットがあります。
 受け取る方法は、全額をまとめて受け取るか、分割で受け取るかの方法があり、運用資産全額をまとめて受け取る場合は退職所得控除の対象となり、分割で受け取る場合は公的年金等控除の対象になります。


企業型確定拠出年金(企業型DC)の注意点

 企業型確定拠出年金(企業型DC)は、税制優遇とあわせて社会保険料等の負担削減効果があることから会社メリットは大きい一方で、以下の点注意する必要があります。

   1.積み立てた年金資産は原則60歳まで引き出せない
   2.元本割れのリスクがある
   3.制度運営のコストかかる
   4.積み立てることで標準報酬月額が減少した場合、厚生年金保険・ 
     雇用保険・労災保険等の一部給付が減少する可能性がある


まとめ

 企業型確定拠出年金(企業型DC)は、企業にとってメリットの大きい制度です。社長ご自身の節税対策や福利厚生の一環として導入したいという企業も多いと思います。例えば、独自に退職金制度として運用している企業などは、約束した退職金額を将来支払わなければなりません。退職金として企業が保有している資産に不足が出た場合は、企業はその補填をする必要があります。これは大変なリスクとなります。一方で、企業型確定拠出年金(企業型DC)は、毎月の掛金を拠出しても、運用自体は加入者がその義務を追うことになり、長期的な債務を追わないという点で企業にとっては大きなメリットがあります。また、企業が負担する掛金はすべて「損金」となり、課税対象外になるというのも魅力です。

とはいえ、メリットが多いからと、安易に加入や現制度からの乗り換えはおすすめできません。まずは導入する前に自社にとって、現状の制度の課題や導入の目的を明確にした上で導入を検討ください。

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