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【京都の社労士コラム】新年のご挨拶を申し上げます。2022年1月1日スタート「雇用保険マルチジョブホルダー制度」

2022年01月06日

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A(エース)社会保険労務士法人の足立徳仁です。
謹んで、新年のお喜びを申し上げます。

旧年中は、弊社に格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。
本年もさらに一層のサービス向上に努め、皆様に安心のサービスをご提供できるよう、業務に励みたいと思います。

どうぞ、変わらぬご愛顧を持って、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
 
本日は、2022年1月1日からスタートする新制度「雇用保険マルチジョブホルダー制度」についてのお話です。
ダブルワークなど複数の事業所でそれぞれ20時間未満の勤務をしている65歳以上の従業員が、特例的に雇用保険の被保険者となることができる制度です。
従業員から制度についての質問や、手続に必要な証明をお願いをされることがありますので制度の内容を理解し適切な対応ができるよう準備していきましょう。
 

事業主向けリーフレット


雇用保険マルチジョブホルダー制度の概要

雇用保険マルチジョブホルダー制度は、複数の事業所で勤務する65歳以上
の労働者が、そのうち2つの事業所での勤務を合計して以下の適用対象者の要件を満たす場合に、本人からハローワークに申出を行うことで、申出を行った日から特例的に雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)となることができる制度です。従来の雇用保険と違い、従業員が「加入する・しない」を判断できます。

<適用対象者の要件>

①複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であること
2つの事業所の労働時間を合計して1週間の所定労働時間が20時間以上であること
※1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満である必要があります。
③2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上であること




<従来の雇用保険との違い>

<従来の雇用保険>
1つの事業所所定労働時間が週20時間以上
②手続きは事業主が行う
③要件を満たすと加入が必須

<マルチジョブホルダー制度>
①複数事業所のうち2つの事業所を選択しその所定労働時間の合計が週20時間以上
②手続きは本人が行う
※事業主からの証明など対応は必要
③要件を満たした場合、本人が加入・未加入を決定できる(任意)



具体的な対応&手続きの流れ

従来の雇用保険と違い任意の制度となりますが、従業員からの申出があった場合は事業主としての対応が必要となります。

事業主の皆さま
は、本人からの依頼に基づき、続に必要な証明(雇用の事実や所定労働時間など)を行ってください。これを受けて、本人が、適用を受ける2社の必要書類を揃えてハローワークに申し出ます。



<対象ではなくなったときは?>
事業主として以下のタイミングで注意が必要です。

①週の所定労働時間が5時間未満になったとき
➤従業員が制度の対象外になるのでマルチジョブホルダーの喪失手続きをするよう従業員に伝えましょう。

②週の所定労働時間が20時間以上になったとき
➤従来の雇用保険への加入が必要です。従業員へはマルチジョブホルダーの喪失手続きを促し、事業主は従来の雇用保険加入の手続きを行いましょう。

離職するとき
➤従業員が制度の対象外になるのでマルチジョブホルダーの喪失手続きをするよう従業員に伝えましょう。

副業先の所定労働時間が変更があったとき
副業先の所定労働時間に変更があった場合もマルチジョブホルダー制度の対象外となる場合があります。
従業員から必要な書類などが求められた時には、速やかにご対応ください。


なお、加入後の取り扱いはマルチジョブホルダー制度も通常の雇用保険の被保険者と同様で、任意脱退はできません

マルチジョブホルダー制度申請手続きパンフレット


事業主の皆様へのお願いとご注意点


①従業員の制度を利用ご協力くださいにご協力ください。
事業主の皆さまの協力が必要不可欠です。労働者から手続に必要な証明を求められた場合は、速やかなご対応をお願いします。
事業主の協力が得られない場合は、ハローワークから事業主に対して確認を行います。

②雇用保険の成立手続が済んでいない場合は、別途手続が必要になります。
雇用保険適用事業所でない場合は新規適用の手続きを行ってください。

③不当な取り扱いは禁止されています。
マルチジョブホルダーが申出を行ったことを理由として、解雇や雇止め、労働条件の不利益変更など、不利益な取扱いを行うことは法律上禁じられています。

④雇用保険料の納付が必要になります。
マルチジョブホルダーがマルチ高年齢被保険者の資格を取得した日から雇用保険料の納付義務が発生します。



主なQ&A

よくあるご質問を簡略的にまとめております。
くわしくは「Q&A~雇用保険マルチジョブホルダー制度~」をご覧ください。


Q.雇用保険料はいくら支払えばよいのでしょうか。
A.通常の雇用保険と同様にそれぞれの事業主が労働者に支払う賃金総額に、保険料率を乗じて計算するのを原則としています。

Q.雇用している者からマルチ雇入届の記載依頼がきたが、必ず対応しないといけないのでしょうか。
A.雇用保険法に定められた本人の権利ですので、必ず対応してください。

Q.今回の制度施行に基づき、初めて雇用保険の適用を受けることとなったが、どうすればよいのでしょうか。
A.本制度は被保険者の届出は本人からの申出により提出していただくこととなっているため、マルチ雇入届の申請と並行して、雇用保険適用事業所設置届を提出してください。

Q.社会保険労務士に雇用保険手続を委託している場合、マルチ取得届やマルチ喪失届の記載を委託しても構わないでしょうか。
A.社会保険労務士が事業主の代わりにマルチ取得届やマルチ喪失届を作成することは可能ですが、提出代行等はできませんのでご注意ください。(被保険者本人が社会保険労務士へ委託している場合は代理申請可)


高齢者雇用に関する助成金のご紹介

従来の雇用保険に該当する働き方(1つの事業所で週所定労働時間が20時間以上)で高齢者を採用する場合には以下の助成金活用がおすすめです。

<特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)>

雇入れ日の満年齢が65歳以上の離職者をハローワーク等の紹介により、一年以上継続して雇用することが確実な労働者(雇用保険の高年齢被保険者)として雇い入れる事業主に対して助成されます。


リーフレット


弊社では、助成金活用の提案以外にも就業規則等の作成及び変更、法改正に対応した労務管理など、労務の専門家の視点からそれぞれの会社に合ったアドバイスをさせて頂きます。

また、今回ご紹介した助成金以外にもたくさんの助成金があり、個人で調べるには限界があります。弊社では助成金のプロが、事前に事業主様の状況を確認させていただいた上で、自社に合った助成金の活用をご提案させて頂きます。
ぜひ、お気軽にご連絡ください。



     

  


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